nao
Joined: 08 Nov 2007 Posts: 145 Location: 名古屋市 Usergroups:
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「なすすべもなく・・・」の洗礼 Posted: 2007.12.18. 02:00 |
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それは、よく晴れ渡った師走の尾根道で起こりました。
まずは・・・
南東には内湾から外海までを一望でき、
西北には冠雪した山並みに囲まれた広大な平野部を見下ろす、
とあるスカイラインの駐車場。
吹きっさらしのせいか、4輪はおらず、しめしめ。
すみっこで遠慮がちに早速8の字と円運動の練習です。
初めはおっかなびっくり。
頭の中では、Club-RTの皆さんに教えられたコツを反芻し、
大きな円からしだいに半径を小さくしていきました。
いろいろなポジションを試すと、
やはり前乗りがもっとも前輪の旋回性をつかみやすいことがわかり、
このポジションなら外足加重のV字バランスがダイナミックに生かせる感じを
体が自然に選択していました。
「わかった」というようなツボを得た喜び。
習うより慣れろ・・・ホントだなあ。
倒れるかも・・・という恐怖感から少しずつ解放されると、
やがて目線を曲がる方向よりさらに後ろに送りながら、
できるだけ鋭角に曲がるために極端なリーンアウトで寝かしこむと、
あるときコツンとフルロックしたまま、驚くべき小半径で
クルリンと回ってくれました。
みなさん、おわかりですよね、この思いがけない快感!
もう、そこからは寝かし放題。右へ左へ回り放題。
楽しくて仕方がありません。因みにこの間ずーっと1速です。
ゴミかごから空き缶を拾ってきてパイロン代わりにして
わざわざ狭いコーナーをこしらえ、ワクンワクンと・・・
腰のわずかな体重移動と内腿での抑え込みと外足加重が
なめらかに3拍子そろうと、11RTとワルツを踊っているようでした。
途中、4輪の若者カップルが何台か入ってきましたが、
サングラスかけたオッサンが、グラマーなバイクを抱きすくめ、
ニヤニヤしながら懸命に空き缶の間をくねる姿に薄気味悪さを覚えたものか、
ほどなく出ていってしまいます。
ごめんね、でも、オッサンも愛人と格闘中なのよ。
1時間はやっていたでしょうか。
なんだか、自信がついたような気がしました。
そんな気持も技術も師走の風に冷え切らないうちに
スカイラインを使って下山することにしました。
えっ、と思うほどコーナーも自然体で曲がれます。
テレレバーの特性を生かしたリーンウイズ走行での寝かしこみも
上半身から力が抜けて、下半身重視で素直にできます。
走りながら、やっぱ基本練習だよな〜、だからバイクはスポーツだなんて
言えるのかもなあ〜と思う余裕もありました。
ある右コーナーを曲がっているとき、急に展望が開け、
美しい夕陽が海原を染めていました。カメラマンの砲列がズラリ。
お、いいじゃん、戻って眺めるか・・・
行き過ぎたあと、右手にアスファルト面につづく草地がみつかったので、
これはいざというときのマージンエリアになるなと思いながら、
上下ラインで道幅6メートルもなさそうなところだったのですが、
えいやっと右旋回。
あれ? 寝ない・・・もっと寝かす? あ、道幅出ちゃう?! ゲッ段差あるじゃん!
さらにハンドルきってスロットルあおったとたん、
急に右側にかつてない引っ張り込みが生じてあわてて前ブレーキ・・・
こうして私は、神々しい光景が引き金となって、
11RTの転倒を初めて受洗したのでした。アーメン
Club-RTの皆さんが教えてくれた「RT聖書」の一節には、こうありました。
・旋回中の前ブレーキは厳禁
・低速での右寝かしこみではシャフトドライブの癖が影響することがある
駐車場でみだらな行為にふけっていた私は
思いあがって、聖書の箴言を忘れていました。
そして、不信心だったゆえ、まだ見ぬ節には、
・坂道でのUターンは平地とは条件が違う
が書かれているということも学びました。
下り坂道では当然下りに車体が倒れようとするので、
その分、体重のかけかたやバランスが違ってくるんですね。
なんでも、やった後に気づくんですね・・・
わたしを教導してくださったみなさん、その御礼代わりに
私の例を「他山の石」として差し出します。
“急坂途中の狭い道でUターンなんかやるもんじゃない!”
浅はかさと未熟を悟ったのですが、
しかしもうひとつ、11RTのことがわかりました。
スロットルを執念深く最後まで握っていたので、後輪が回ったまま
路面をガーッと削りながら車体が軽々と半回転したにもかかわらず、
極めてダメージが少なかったことです。
回転の支点となったシリンダーヘッド・プロテクターはガガガとなりましたが、
ミラー耳は約6センチの長さで幅3ミリ程度の傷が塗装を薄くはがしただけ、
パニアに至っては、蓋口の下部3センチが鋭く減ったものの、
削られたかすをポロリと取ると、ほとんど外観に影響なし。
これを確認して、ほんとうにホッとしましたし、
改めて、このバイクのイデオロギーに感動しました。
失敗して得たものの大きかった真冬の快適ツーリング体験。
まだまだ奥が深いですね〜RTは!
みなさん、善い御年をお迎えください。
ここで出会った方々、ほんとうにありがとうございました。
みなさんとともに幸せなバイク・ライフを送ることができる世の中になりますように
祈り上げます。 |
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